あなたは今、どのような保険に入っていますか?
もしかしたら社会人になったときに勧められたままの保険ではないでしょうか?
日本は「保険大国」と言われていますが、一方で保険の内容を理解している人は少ないとされています。独身なのに終身の死亡保険に入る(保険金の受取人が親)など、明らかに不必要な保険に入っている人もいるのです。
保険を選ぶ際は自分にあったものを選ぶ、ライフステージに合わせて見直すなどの必要があります。この記事ではがん保険の選び方について解説していきます。
まずはここから「医療保険」の基礎知識
がん保険の説明に入る前に、医療保険のことについて解説したいと思います。
なぜなら、がん保険は医療保険の一種であり、病気への備えは医療保険が中心となるからです。
医療保険に入る目的
生きている限り病気や怪我のリスクは常につきまといます。そして大病を患うと心身だけではなく、経済的にも大きな負担となることがあります。
そのため、医療保険は単身世帯や子育て世帯、老後世帯などすべての人が対象となる保険です。医療保険に入る目的は大きく3つあります。
- 高額な医療費に備える
- 入院時の負担を減らす
- 収入の減少に備える
このうち、医療費については「高額療養費制度」があるため大きな負担とはなりません。大抵の場合は自己負担限度額は10万円程で済むと思います。
負担となるのは入院が長引いたときの費用です。差額ベッド代や日用品で費用がかさむほか、働けなることで収入が減少するからです。公務員や会社員などであれば「傷病手当金」が給付されますが、自営業者はそうした手当を受けることができません。
医療保険の主契約と特約
医療保険は入院・手術時の給付がベースの保険です。この部分の契約を「主契約」といいます。主契約であらかじめ設定した「入院日額」を入院した日数に応じて受け取ることができます。また、手術をした場合は一時金を受け取ることもできます。
これに対して「特約」には通院時にも受け取れる「通院特約」や、保険適用外の先進医療を受けた際の「先進医療特約」などがあります。特約の加入は任意です。
保険期間と保険料払込期間について
「保険期間」とは、その保障がいつまで続くかをあらわすものです。一生涯保障が続くものを「終身型」、ある一定期間までの保障のものを「定期型」と呼びます。
たとえば、子どもが独立するまでの間加入する死亡保険なら「定期型」の保険で十分です。一方、医療保険は終身型でなければ保障を受け続けることはできません。医療保険は「終身型」を選ぶのがベストです。
「保険料払込期間」とは、月々の保険料を何歳まで払うかをあらわすものです。終身型の保険だからといって、退職後に保険料を払うようでは経済的な負担は大きくなります。保険料払込期間は退職までの年齢で設定するようにしましょう。
がん保険と医療保険の違い
ここまでは医療保険について説明してきました。それでは医療保険とがん保険の違いは何でしょうか?ここからはがん保険を中心に解説していきます。
がん保険はがんに備えた保障が充実している
がん保険はがんの治療に特化した保険です。ちなみに保険会社はがんを「悪性新生物」とよび、「上皮内新生物」と区別します。
がんを患うと、入院や手術のほか通院治療も必要になります。がん保険では入院・手術・通院のすべてが給付対象となるほか、がんと診断されたときに一時金として「診断給付金」も支払われます。
これに対して医療保険はがん以外の病気や怪我にも対応していますが、通院は保障の対象外となることも多いです。がん治療だけを考えたら、がん保険の方が手厚い保障を受けられるのです。
支払限度日数に制限がない
一般的な医療保険の場合、1入院あたりに給付金を支給する日数に上限を設けています。これを「支払限度日数」と言います。多くの場合は60日、90日、120日から選ぶことになるのですが、日数を長くすると保険料も高くなります。
がん保険の場合は支払限度日数が無制限であることが多いので、長期の入院治療にも対応できます。また、入院を繰り返しても制限を受けることがありません。
免責期間が設定されている
がん保険では免責期間(不担保期間)が設定されています。これは契約日からおよそ90日の間にがん(悪性新生物・上皮内新生物)と診断されても保障はされないというものです。
免責期間が設定されているのは、自覚症状がある人が保険に加入することを防ぐためです。がん保険契約の際はこのことに注意しましょう。
がん保険の選び方
がん保険を選ぶ際は「各社のがん保険の比較して魅力的な商品を選ぶ」のではなく、「自分にはどのような保障が適しているか」で考えるようにします。
ここからはがん保険を選ぶ際の考え方の基準を説明していきます。
自分の現状を把握する
まずは今の自分にどれだけの備えがあるのか、以下のように自分の現状を確認します。
- 病気の際にどれだけの貯金を崩せそうか?
- 保険と自己負担の割合はどの程度が望ましいか?
- 収入はどれだけ減少しそうか?
- 傷病手当金などの補助を受けられるか?
- 健康でいた場合、何歳まで働くか?
- がんと診断されても、仕事をつづけられるか?
- すでに加入している保険(死亡保険・医療保険)の保障内容は?
etc…
十分な貯蓄があって自己負担の割合を増やせるのであれば、保険は最小限に抑えることができます。逆に貯蓄を崩せないのであれば、保障の手厚い保険を選ぶようにします。
また、すでに加入している保険がある場合は保障内容が被らないようにします。
医療保険との組み合わせを考える
がん以外の病気や怪我に備えるのであれば、先に医療保険の加入を検討します。医療保険であれば、がんで入院したときでも給付金が支給されるからです。
その上でがんにも備えておきたいのであれば、がん保険への加入を検討します。がん保険であれば診断給付金(一時金)や通院給付金などの保障が手厚くなるからです。
医療保険とがん保険を組み合わせる時は「入院時の費用は医療保険でまかない、通院時の費用はがん保険でまかなうようにする」と考えれば良いでしょう。一時金と通院時の保障を重視してがん保険を選ぶようにします。
先進医療特約について
陽子線治療や重粒子線治療などの先進医療は高額かつ保険診療の適用外となっています。先進医療を受けられるようにしたいのであれば、先進医療特約をつけておいた方が良いでしょう。
ただし、医療保険に加入している場合はこちらの先進医療特約に加入します。がん保険の特約はがん治療にのみ適用されますが、医療保険の特約は先進医療すべてが対象となるからです。
保険料払込免除特約について
がんと診断されたとき、以降の保険料の支払いを免除してもらえる特約を「(がん)保険料払込免除特約」といいます。保険料の支払いが免除されても、保障は継続されます。
がんになると仕事の継続が難しくなり収入が減ることもありますし、治療費と保険料が重なることで家計の負担となることもあります。もし保険料払込免除特約があれば、保険料の負担を減らしながら安心して治療を受けることができます。
がんになっても収入が減らない、治療しながら保険料を払うことができるという人以外は保険料払込免除特約をつけることをおすすめします。
上皮内新生物について
がん細胞が皮膚や粘膜の表面にとどまっているものを「上皮内新生物」と言います。上皮内新生物は悪性新生物の一歩手前の状態ということもできます。
がん保険では「上皮内新生物」と「悪性新生物」を区別し、上皮内新生物は保障の対象外とするところが多いようです。
上皮内新生物は悪性新生物よりも転移のリスクが少なく、治療費の負担も少なくて済みますが、不安な人は上皮内新生物も保障される保険を選びましょう。
まとめ
生きる上では誰しもが病気や怪我のリスクに備える必要があります。特にがんについては「2人に1人ががんになる時代」と言われていますので、しっかりと備えておきたいものです。
がん保険を選ぶ際に重要なことは「自分軸」を持つことです。自分がどのくらいの保障を必要としているのか?何に不安を感じているのか?などを整理しましょう。
自分軸を持って保険を検討すれば、納得の行く保険に入ることができるでしょう。
この記事を書いた人
- ファイナンシャルプランナー技能検定 2級
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